2022/11/04【第10回】場所別カビのお掃除方法 ~キッチン~
これまでご家庭の場所別に分けて、カビのお掃除方法を紹介してきました。
今回はキッチンのお掃除についてです。
キッチンは油や水、食材などカビの栄養となるものが多く、またそれらを収納する棚などカビや汚れに気付きにくい箇所も多いですが、食事を用意する場所なので、きれいに保ちたいですね。
シンクのお掃除
シンクはとても汚れやすい所です。
生ごみや食べかす、水垢など様々な汚れが付着しやすく、こまめに掃除をしないとすぐに黒ずんだり、白くなったりします。シンクはステンレスやホーローでできているので、メラミンスポンジでこするだけできれいになります。
このとき、油分がついている場合は、台所用中性洗剤も併用しましょう。三角コーナーや排水口のゴム、排水トラップはまとめて洗い桶に入れて漂白剤を全体にかけるとカビ除去がしやすくなります。10分ほど置いてからスポンジや歯ブラシ等でこすり落としましょう。シンク同様、汚れが落ちたら水で洗い流した後、消毒用エタノールを吹きかけて完了です。
また、シンク周りについては、カビが生えてしまったらすぐに除去することも大切ですが、予防が何より大切です。特に生ごみは腐敗しやすく、カビ発生の原因にもなります。
ごみは水分をできるだけ含ませないようにするため、生ごみとそうでないごみをきちんと分けるなどするだけでも、カビ予防に効果的であるだけでなく、悪臭予防にも効果的です。
シンク下や引き出し、棚のお掃除
また、シンク下や引き出し、棚の奥は、注意が必要な場所です。
キッチンは湿気が多く、また調理の際の食べ物のカスや油煙などの汚れが溜まりやすいので、カビが生えやすい場所の一つです。特にシンク下や引き出し、棚の奥はなかなかのぞき込むこともしないので、気づいたときにはカビで真っ黒、ということもあります。少なくとも年に一度は大掃除をしたいところです。
お掃除前に、まずは中に収納してあるものをすべて取り出しましょう。弱アルカリ性洗剤をスポンジなどにつけて、シンク下、引き出し、棚、扉などをこすったのち、濡れタオルで水拭きをして洗剤をふき取ります。そのあと乾拭きをしてドアを解放したまま全体を乾燥させます。
最後に、消毒用エタノールを全体に吹きかけておきましょう。
湿気が気になるときは、日頃から扉や棚を意識して開けて空気を流すことで、カビ予防になります。またこまめな掃除も、カビの好む栄養を除去する意味で非常に効果的です。
冷蔵庫・冷凍庫のお掃除
冷蔵庫・冷蔵庫は温度が低いので安心と思っていても、カビが生えてしまうことがありますよね。
カビは温度が低くても、その活動が弱まるだけで、実は静かに生きていてゆっくりと繁殖しています。例えば野菜室は、庫内に落ちて気づかずそのままになっている野菜の欠片がカビの餌となります。また、買ってきた野菜についていた土には土壌菌がついているので、それが原因となりカビが生えることもあります。また第1回でもご紹介しましたが、氷にさえカビが生えることもあります。
お掃除の前にまずは冷蔵庫、冷凍庫に入っている食材をすべて出しましょう。冷蔵庫の食材はクーラーボックスか発砲スチロールのボックスの下に保冷剤をいくつか入れて保管すると良いでしょう。冷凍庫の食材の保管にはドライアイスを使用します。今はインターネットでも購入できるようですので探してみてください。すべての食材を出した後、電源を切り、しばらく戸を開けて冷気を逃がして掃除をしやすいようにしましょう。
冷蔵庫内は、食器用中性洗剤を薄めた水を含ませてしっかりと絞った布で丁寧に拭きます。頑固な汚れには重曹を少量の水で溶いたものを使用してスポンジでこすっても良いでしょう。汚れが落ちたら水拭きしてから乾拭きをして乾燥させた後、消毒用エタノールを庫内全体に吹きかけて消毒をしてください。もしドアパッキンに黒カビが生えている場合は、カビ取り剤を使用して除去しましょう。(第6回のお風呂掃除でご紹介した方法を参考にしてみてください)
3ヶ月に1度はこのような大掃除をするのが理想的ですが、なかなかできないのが現実です。そのため、汚れたらすぐに拭き取る、ときどき消毒用エタノールで除菌する、カビの生えたものを放置せずにすぐに処分する、食材を長期保存しないなど、日ごろからこまめなお掃除、お手入れをすることがカビ予防となり、大がかりな掃除をしなくても済むようになります。
その他注意するところのお掃除
シンク、シンク周り、冷蔵庫・冷凍庫と紹介してきましたが、まだまだ注意するポイントはあります。
蛇口
蛇口も毎日使っているので汚れの蓄積しやすい場所です。
一番見落としがちなのが蛇口の先を初め、死角になっているレバーの下や結合部分、蛇口の裏側や付け根部分など、よくよく観察してみると、汚れやカビで真っ黒になっている場合があります。
水垢やカルキなどのアルカリ性の汚れには酸性のクエン酸かお酢、また、手垢やせっけん食べ物のカスなどの酸性の汚れにはアルカリ性の重曹が効果を発揮してくれます。汚れを中和させることができるためです。
まずは湿らせたスポンジや歯ブラシに重曹をつけて汚れた部分をこすります。重曹での掃除が終わったら、今度はクエン酸かお酢で掃除します。特に蛇口の先はカップなどにお酢を入れて蛇口を浸すようなイメージで掃除しましょう。
ステンレス製の蛇口の汚れにはメラミンスポンジも効果的です。ただし光沢のあるステンレスの場合はメラミンスポンジで強くこすりすぎると、目に見えない微細な傷がつき、曇ってしまうため注意しましょう。
コンロ周り
鍋やフライパンからこぼれた食べ物や油汚れなどを、放っておけばこびりつき、カビのもとになります。軽い汚れであれば、薄めた中性洗剤を含ませた布でふき取れば十分きれいになります。ここでは汚れが多くなり、しっかりきれいにしたいときのお掃除方法をご紹介します。
まずは、五徳を外して洗面器などに入れ、洗濯用の粉石けんを入れます。その上からぬるま湯を入れ1時間以上つけておきましょう。酸性の油汚れにはアルカリ性のせっけんが非常に効果的です。つけ置き後にアクリルたわし、亀の子たわしなどを使用して焦げ付き部分をこすると汚れが落ちやすくなっていることがわかります。
コンロの頑固な汚れには、五徳をつけ置きしたせっけん水を使って、コンロの拭き掃除をしましょう。こびりついた汚れにはせっけん水で濡らしたキッチンペーパーでコンロを密封しても良いでしょう。五徳同様に汚れが落ちやすくなります。歯ブラシ等でこすって汚れを落としましょう。ただし、コンロ付近のアルミ製品には液がつかないよう気を付けます(変色の恐れがあります)。最後にしっかりと水拭きしてから乾拭き、アルコール消毒まですれば完璧です。
食洗器
食洗器の底には、食べかすが溜まるフィルターがついていますが、そのままにしておくと、雑菌が溜まってカビが生えてきます。毎月1回を目安に掃除をしましょう。
また、日常のカビ予防のための習慣として、食洗器の使用後は必ずすぐに食器を取り出すようにしましょう。せっかくきれいになった食器も、洗浄後そのまま放置しておくと、食洗器のフィルターに溜まった汚れを原因とする雑菌やカビ菌が、食器に移ってしまいます。
調理器具
調理器具の中でも特にまな板は、使ったらすぐに洗うようにしていても、黒ずんでくることがあります。この黒ずみの原因はカビです。すぐに除去しましょう。木のまな板なら重曹や粗塩でこすって落とします。樹脂製のまな板の場合は、漂白剤を全体に塗り、しばらく置いてから洗い流しましょう。
まな板のカビは包丁で切った細かな傷にできることが多いです。まな板を使用する際は、使う直前に水をかけてから使用します。匂い移り、色移り等を防ぐ効果があります。また乾いたまま使用した場合に比べて傷がつきにくくなります。使い終わった後は、すぐに水で洗い流し、乾いた布巾でまんべんなく水気を拭き取りましょう。
魚や肉を切ったときは洗剤で洗ってから熱湯をかけて殺菌しましょう。
こまめなお掃除やお手入れなど基本的なことではありますが、カビ予防の観点からはとても大切なことです。日頃からキッチンを清潔に保ち、健康な食生活にしましょう。
第11回は、居室のお掃除についてです。